映画『教皇選挙』:2025年7月30日からAmazon Prime Videoで独占配信

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映画『教皇選挙』配信開始! 2025年、現実のコンクラーベと見比べる知られざる舞台裏

全世界14億人以上の信者を擁するカトリック教会の最高指導者、ローマ教皇。その選出選挙である「コンクラーベ」の、知られざる内幕を描いたミステリー映画『教皇選挙』が、いよいよ2025年7月30日(水)からAmazon Prime Videoで独占配信されています。(日本語吹替版も同時配信)

奇しくも2025年は、実際に教皇フランシスコが逝去し、12年ぶりとなるコンクラーベが開催された年。現実の出来事と相まって、本作への注目度はますます高まっています。

第97回アカデミー賞で脚色賞を受賞するなど、世界的に高い評価を得た本作のあらすじ、見どころ、そして現実のコンクラーベについてご紹介します。

映画の概要:荘厳な舞台で繰り広げられる権力闘争ミステリー

カトリック教会の総本山、バチカンでローマ教皇が逝去したことから物語は始まります。

新たな教皇を選出するため、世界中から100人以上の枢機卿たちがシスティーナ礼拝堂に集い、外部から完全に隔離された秘密選挙「コンクラーベ」に臨みます。主人公のローレンス枢機卿(レイフ・ファインズ)は、この神聖な選挙を取り仕切るという大役を担うことになります。

しかし、投票が進むにつれて、有力候補者たちの隠されたスキャンダルや思惑が次々と暴かれていきます。熾烈な権力闘争が繰り広げられる中、厳戒態勢のバチカンを揺るがす大事件が発生。

果たして、新たな教皇は誰になるのか? そして、その先に待ち受ける未来とは? 政治的な分断が深刻化する現代社会を映し出すかのような、息をのむ展開から目が離せません。

監督・脚本

本作のメガホンを取ったのは、『西部戦線異状なし』で第95回アカデミー賞®国際長編映画賞など4部門を受賞したエドワード・ベルガー監督です。ジャーナリスト兼作家ロバート・ハリスの原作小説「CONCLAVE」を、『裏切りのサーカス』で知られる名手ピーター・ストローハンが脚色。荘厳で謎に満ちた選挙戦を見事に映像化しました。

国際色豊かなキャスト陣(役どころメモ付き)

国際色豊かな実力派キャストが、この重厚なミステリーを彩ります。

  • ローレンス枢機卿 (レイフ・ファインズ):選挙の仕切り役を担う主人公。『ハリー・ポッター』シリーズのヴォルデモート役で知られる。
  • ベリーニ枢機卿 (スタンリー・トゥッチ):有力候補の一人。メガネがトレードマーク。『プラダを着た悪魔』などに出演。
  • テデスコ枢機卿 (セルジオ・カステリット):保守派の重鎮。髪型が印象的。
  • トランブレ枢機卿 (ジョン・リスゴー):教皇に解任された?かもしれない枢機卿。『ザ・クラウン』でチャーチル役を好演。
  • アデイエミ枢機卿 (ルシアン・ムサマティ):ナイジェリア出身の黒人枢機卿。
  • ベニテス枢機卿 (カルロス・ディエス):メキシコ出身。選挙の終盤で鍵を握る人物。
  • シスター・アグネス (イザベラ・ロッセリーニ):コンクラーベの裏で重要な役割を担う修道女。『ブルーベルベット』の主演で有名。

映画の感想:リアルとフィクションの絶妙なバランス

キリスト教の知識が深くなくても、システィーナ礼拝堂の荘厳な雰囲気、豪華な衣装、そして響き渡る聖歌など、映像と音響に引き込まれます。映画館で観たら、より荘厳さを感じたかもしれません。

見る前は、実際のコンクラーベを忠実に再現したドキュメンタリータッチの作品かと思っていましたが、良い意味で裏切られました。物語はかなり脚色されており、上質なミステリーとして楽しめます。

特に、最後に選ばれる新教皇の結末は、現代社会が抱えるリベラルや多様性といったテーマを投げかけるもので、少しやりすぎかな?と感じる部分もありました。その点で、純粋な再現ドラマを期待していると少し違うかもしれませんが、「コンクラーベとは何か」を知るきっかけとしては、よくできた作品です。総合的には「まあまあ面白かった」というのが正直な感想です。

【補足】これを読めば映画がもっと面白い!現実のコンクラーベとは?

映画をより深く楽しむために、実際のコンクラーベのシステムと、2025年に行われた本物のコンクラーベの結果をまとめました。

コンクラーベのシステム

コンクラーベとは、ローマ教皇を選出するための枢機卿による選挙のことです。ラテン語の「con clave(鍵のかかった部屋)」が語源で、外部から完全に遮断された環境で行われます。これは、外部からの政治的干渉を防ぎ、枢機卿たちの自由な意思決定を守るための重要な伝統です。

選挙権を持つ者と場所
  • 選挙権: 投票権を持つのは、教皇の逝去時に80歳未満の枢機卿に限られます。
  • 場所: 選挙は、ミケランジェロの「最後の審判」で知られるバチカン市国のシスティーナ礼拝堂で行われ、枢機卿たちは選挙期間中、外部との接触を一切断たれます。
投票と選出
  • 投票方法: 秘密投票で行われ、新しい教皇が選出されるには、投票総数の3分の2以上の得票が必要です。
  • 煙による合図: 投票用紙は各投票の後に焼かれ、その煙の色で結果が外部に知らされます。
    • 黒い煙: 新教皇がまだ決まっていないことを意味します。
    • 白い煙: 新教皇が選出されたという吉報です。
新教皇の誕生

白い煙が上がると、サン・ピエトロ大聖堂の中央バルコニーから新しい教皇が「ハベムス・パパム(我々は新教皇を得た)」という言葉と共に紹介され、世界へ向けて最初の祝福「ウルビ・エト・オルビ」が与えられます。

2025年のコンクラーベの結果

2025年4月21日に教皇フランシスコが88歳で逝去したことを受け、同年5月7日からコンクラーベが開始されました。

  • 選挙の経過: 5月7日の初日の投票では新教皇は決まらず黒い煙が上がりましたが、翌5月8日、4回目の投票で新教皇が選出され、システィーナ礼拝堂の煙突から白い煙が上がりました。
  • 新教皇: アメリカ出身のロバート・プレボスト枢機卿が新しい教皇に選出されました。アメリカ出身の教皇は史上初です。彼はペルーでの宣教活動が長く、2023年に枢機卿に任命されたばかりでした。就任前の会見では、教会をあらゆる人々に開かれたものにするという姿勢を示しています。

今回のコンクラーベは、史上初めてヨーロッパ出身の枢機卿が半数を下回り、非常に国際色豊かな選挙となった点でも注目されました。

最後に

映画『教皇選挙』は、単なる宗教映画ではありません。権力、信仰、そして人間の本質を鋭くえぐる、極上のミステリーエンターテイメントです。

2025年というタイムリーな年に、現実のコンクラーベと見比べながら、この固唾をのんで見守る選挙の行方を、ぜひその目で確かめてみてください。

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