2級小型船舶免許を取得した私ですが、ある日ふと思いました。
「あの水平線の向こう側へ、自分の船で行ってみたい…」
2級免許の航行区域「沿岸から5海里」では叶えられない、“航行区域の限定解除”という新たな夢。それを実現するため、独学で1級小型船舶免許へのステップアップに挑戦しました。
この記事では、私が独学で1級ステップアップ試験に合格するまでの全記録を、具体的な勉強法からリアルな費用、そして難関と言われる「海図問題」との格闘まで、包み隠さずお伝えします!
そもそも、なぜステップアップ?1級と2級の決定的な違い
一番の違いは、「航行区域」です。2級が「海岸から5海里(約9.3km)」なのに対し、1級は「無制限」(※一部制限あり)。これにより、長距離航海や、沖合での大物釣りなど、夢が大きく広がります。
そして、ステップアップで問われるのは「学科試験」のみ。2級取得時に不安に感じた実技試験は免除されます!
2級で学んだ科目 | 1級で追加される科目 | |
---|---|---|
学科試験 |
|
|
実技試験 | 免除! (2級で合格済のため) |
なぜ「独学」?教習所との費用比較
教習所にもステップアップコースはありますが、私は迷わず「独学」を選びました。理由はただ一つ、費用が圧倒的に安いからです。
- 教習所のステップアップコース: 約4万円~7万円
- 私がかかった独学の費用: 約14,000円!(詳細は後述)
実技がない分、学科さえ頑張れば合格できる。そう考え、費用を抑える道を選びました。
独学ステップアップのリアルな道のり
STEP1:準備編【使った教材と費用内訳】
私が独学のために揃えたのは、これだけです。
- 参考書・問題集:[ステップアップのための一級小型船舶操縦士試験問題新訂 模範解答と解説 成山堂書店]
- 過去問:上記に加え、日本海洋レジャー安全・振興協会に行ったついでに貰ってきた過去問
- 海図用品:大きい(30cm位)三角定規2枚、コンパス(円を描く用の)
デバイダー:購入しませんでした。自分はコンパスで十分対応できましたので、不要かと思いました。ただし、広げた幅がしっかり保持できる状態のコンパスが必要です。ネジを締める等して、広げた幅が保持できる状態の物を用意しましょう。
三角定規:自分は目盛付きの30cmのものを使用しましたが、目盛が無いものの方が使いやすいのでは思いました。(内側に1本線が引いてあるものはさらに使いやすそう)。
海図用紙:自分は問題集付属の海図をコピーして使用しました。コピーの歪みが結構ひどくなってしまい、解答が微妙にズレて出ることが多かったです。ちゃんと学習したい方は試験用の海図を購入してもよいかもしれません。
リアルな費用内訳 (2024年時点)
- 教材費(テキスト・問題集):約3,000円
- 国家試験受験料:6,600円
- 身体検査手数料:0円(前回検査より1年以内のため不要。通常は3,450円)
- 免許申請にかかる収入印紙:2,000円
- その他(証明写真、送料など):約1,000円
- 交通費(試験会場、運輸局):約1,400円
合計: 約 14,000円
STEP2:勉強編【難関「海図」との格闘】
学習期間は、気が向いたときにダラダラと約2カ月(独学のデメリットかもしれません)。
「上級運航Ⅱ」は暗記が中心ですが、問題は「上級運航Ⅰ」、特に海図問題です。
「〇〇灯台から方位〇〇度、距離〇〇海里の地点Aから、潮流(流向〇〇度、流速〇〇ノット)の中を針路〇〇度で〇時間航行した。到着地点Bはどこか」
…こんな問題を、コンパスと三角定規を駆使して海図上に作図していきます。最初は本当にちんぷんかんぷん!
YouTubeの解説動画を見たり、問題集を何度も解いたりして、指と頭に作図方法を叩き込みました。パズルが解けた時の快感はたまりません。
💡 私の勉強法
- 海図問題:とにかく問題集を反復。違うパターンの問題を最低でも3回は解きました。
- 台風避航:結構苦戦しました。とにかく問題集を反復。
- 機関の保守・整備:エンジンの構造等で見慣れない単語がたくさん出てきて、結構苦戦しました。こちらもとにかく問題集を反復。
- 全体:合格ラインは14問中10問以上の正解で、これは結構厳しいと感じました。もし海図問題3問を全滅させたら、残りで間違えられるのはたった1問だけ。そう思うと、海図問題を確実に正解できる状態にしなければ合格は難しいと考え、海図の勉強にかなり注力しました。
STEP3:試験当日編
試験は学科のみ。問題数は全14問で、試験時間は70分です。学科の試験会場では、1級、1級ステップアップ、2級の受験生が混在して受けます。
海図問題に時間を取られすぎないよう、先に海図以外から解きました。
試験本番の海図はすごく立派な海図用紙で、3問とも自分が出した解答とピッタリ一致する選択肢があって、少し感動しました。(学習で使用した、コピーして歪んだ海図だと自分の答えと選択肢が微妙にズレていたのでw)
練習の甲斐あって、時間に余裕をもって全問解き終わりました。
会場の外に解答が貼り出してあるので、スマホで撮影して、後で自己採点しました。
14問中13問正解、無事合格することができました!
間違えた1問は、海難事例問題でした(過去問になかった、初見の問題でした)。
まとめ:独学でのステップアップは「超」おすすめ!
実技試験がない1級へのステップアップは、独学との相性が抜群です。費用を抑えながら、自分の知識で航海の限界を突破できた時の達成感は、何物にも代えがたいものがあります。
もしあなたが2級免許を持っていて、少しでも「もっと遠くへ」という気持ちがあるなら、ぜひ独学でのステップアップに挑戦してみてください。
この記事が、あなたの新たな船出を応援できれば幸いです!
コメント