映画『秒速5センチメートル』の概要
『秒速5センチメートル』は、2007年に公開された新海誠監督による長編アニメーション映画です。「どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか。」というキャッチコピーのもと、惹かれ合う男女の時間と距離による心の変化を、3本の短編からなる連作形式で描いています。
タイトルの「秒速5センチメートル」は、桜の花びらが舞い落ちる速度を指しており、作品全体を象徴するモチーフとなっています。 これまでの新海誠作品と異なりSF要素を排し、誰もが経験するような日常の中での心の距離や、想いの移ろいを、美しい風景描写とともに繊細に描き出した作品です。
実写映画化が決定!
「秒速5センチメートル」は実写映画化が決定しており、2025年10月10日(金)に全国公開される予定です。
主演はSixTONESの松村北斗さんで、遠野貴樹役を演じます。ヒロインの篠原明里役は高畑充希さんが務めます。監督は、写真家や映像作家として活躍する奥山由之さんです。
原作のアニメーション映画は約63分の作品ですが、実写映画は約2時間の長編になる予定です。
新海誠監督も、若く熱心なチームが『秒速5センチメートル』に向き合ってくれていることに「誰よりも完成を心待ちに、応援しています」とコメントしています。
あらすじ
物語は主人公・遠野貴樹の視点を中心に、3つの時代を描いています。
第1話「桜花抄(おうかしょう)」
東京の小学校に通う遠野貴樹と篠原明里は、親の転勤が多く病弱であるなど境遇が似ていたことから、いつも一緒に過ごす特別な存在でした。 しかし、小学校卒業と同時に明里が栃木へ転校し、二人は離れ離れになってしまいます。 中学1年の冬、今度は貴樹が鹿児島へ転校することが決まります。 もう会えなくなるかもしれないと思った貴樹は、大雪の降る3月4日、たった一人で電車を乗り継ぎ、明里に会いに行くことを決意します。
第2話「コスモナウト」
舞台は鹿児島県の種子島に移り、高校3年生になった貴樹の日常が描かれます。 この章は、貴樹に想いを寄せる同級生・澄田花苗の視点で物語が進行します。 花苗は、優しくもどこか遠くを見つめ、誰かにメールを送り続けている貴樹の姿に、彼の心がここにはないことを感じ取ります。
第3話「秒速5センチメートル」
東京でシステムエンジニアとして働く貴樹は、仕事に追われる日々のなかで、次第に心の輝きを失っていきます。 3年間付き合った恋人・水野理紗からも「1000回メールしても、心は1センチくらいしか近づけなかった」と、心がすれ違っていることを見透かされてしまいます。 彼は、自分が何を追い求めているのか自問自答しながら、過去の記憶と向き合おうとします。
主な登場人物
遠野 貴樹(とおの たかき)
声:水橋研二
本作の主人公。 小学生の頃から明里に特別な想いを寄せていますが、彼女との物理的な距離が、そのまま心の距離へと繋がっていきます。純粋で一途な想いを抱えながらも、時間と共に孤独感を深めていく青年です。
篠原 明里(しのはら あかり)
声:近藤好美(第一話)/尾上綾華(第三話)
貴樹の初恋の相手であり、互いに特別な存在でした。 親の都合で転校し、貴樹とは文通を続けることになります。第三話では、自身の結婚を控えていることが示唆されます。
澄田 花苗(すみだ かなえ)
声:花村怜美
第2話「コスモナウト」の視点人物。 種子島の高校で貴樹のクラスメイトになり、彼に恋をします。サーフィンに打ち込む活発な少女ですが、貴樹の心が自分に向いていないことにもどかしさを感じています。
水野 理紗(みずの りさ)
声:水野理紗
第3話に登場する、貴樹の会社の同僚であり恋人。 貴樹とは3年間付き合いましたが、彼の心が常に別の場所にあることを感じており、関係に終わりを告げます。 彼女の存在は、大人になった貴樹が抱える心の空虚さをより際立たせています。
感想:美しい映像と、どうしても共感できなかった主人公
この作品の魅力は、何と言っても美しい背景美術です。印象的だったのは、第一話で雪が舞う夜の駅のホーム。冷たい空気感や光の描写が、貴樹の不安と期待が入り混じった心情を見事に表現していました。第二話ではロケットの打ち上がるシーンも印象的でした。
第三話は目まぐるしく場面が切り替わるため、初見では意味がよくわからなかったので、ネットの解説や考察を読んでようやく理解できました。
全体的には、まず自分は青春、恋愛ものが嫌いなのでそもそもダメ。胸糞悪い。
明里が彼との思い出を胸にしまい、自分の人生をしっかりと歩んでいるのに対し、貴樹は過去の思い出に浸るばかりで、現実と向き合おうとしていない対比も胸糞悪い。
ラストシーンで彼がようやく前を向いた(ように見える)、それだけが救いだった。
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